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スティーヴンがロシアでレイトショー・デビュー

背後の窓の風景でお分かりのように、ロシアウィークが始まった。アメリカで開催中のロシア4年間の一部だという(*トランプ政権のこと)。

つまり、トランプが選挙で勝って以来、ロシアが話題に上らないことがないからだ。新聞にもテレビにも、何故か皆がツイートしてる公開された私的メールにも(*トランプジュニアがロシアとの共謀疑惑を晴らそうとして公開したメールのこと)。
self-incriminate:自ら公開する。

ロシアによるハッキング・ストーリーから逃れるには、フォックス・アンド・フレンズをプロデュースしているとかいう国へ遥々旅するしかないという。
Fox and Friends:フォックス・アンド・フレンズはFOXニュースの朝の保守系時事番組、FOXはトランプ大統領のお気に入りのチャンネルであるものの自称保守本道の立場から反トランプだったが、最近は民主党批判からロシア寄りになっているようで、フォックス・アンド・フレンズにジュリアン・アサンジが登場して質問に答えたりしている(別にロシアのスパイだからではなく、そもそもエクアドル大使館亡命生活は米国への身柄引き渡しを避けるためであり、その原因はオバマ政権のネット監視体制にある)、FOXニュースは他にもオライリーの後任のタッカー・カールソンの番組にイスラエルの実態暴露の第一人者、ジャーナリスト、マックス・ブルーメンソールが登場したりして(*)、何が何だか分からない状況になっている。

ロシアの話ばかりしているのにも関わらず、普通のロシア人の考えは誰も知らない。誰かがロシアへ行って明らかにした方がいいと思った。誰か居るはずだ。僕以外の誰かが。実際、あそこにいるエグゼクティヴ・プロデューサーのクリスが去年の12月に「ロシアへ旅行したくない?」というので「絶対にイヤ」と言ったという。幾らぐらい掛かるものなのか調べるのはどう?というので、それぐらいは無害だろうと考えた。気がついたらモスクワに居たという。
executive producer:エグゼクティヴ・プロデューサー、製作総指揮者、資金の調達と配給やキャスティングを担当する責任者。

旅は素晴らしかったという。ロシアの人達は信じられないほどフレンドリーで暖かく迎えてくれた。数ブロック離れてどこにでも付いてくるグループも居た、という。何かあったら助けてくるためだと思う。

街の人達と話し、素敵な人達だ、ロシアのオリガルヒのミハイル・プロケロフと過ごし、反プーチンのロシアのセキュリティー専門家と会った。トランプが泊まったリッツカールトンのプレジデンシャル・スイートに泊まったりしたという。そう、例の部屋だ(*ゴールデンシャワー事件のこと)。凄いよ。
oligarch:オリガルヒ、語源は寡頭制(オリガルキー)で、そのまた語源はギリシア語のオリガルヒア、ー部の人間によって牛耳られた腐敗した政府、転じてロシアの新興財閥のこと、ソ連崩壊後の資本主義化のどさくさにより富を成した。

防護服を着たという
hazmat suit:ハズマットスーツ、化学防護服、枝野元幹事長やブレーキングバッドでお馴染み。

これら総て今週お送りするが、今夜はまず美しいサンクトペテルブルクから。
Saint Petersburg:サンクトペテルブルクは旧帝政ロシアの首都、アメリカ人は何でも無理やりそのまま発音するのでセイントピーターズバーグとなり、ファン・ゴッホはヴァンゴー、ISISはアイシス、WoWはワウになる、正確にはサンクトピチルブールクだそうなので大同小異か。

ロシアといったらこれしかない。レイトナイト・コメディー。イワン・ウルガントはロシアで最も人気がある、唯一のレイトショー・ホストだ。慇懃な人物で、彼の番組『イヴニング・ウルガント』のゲストに招いてくれた。だがクレムリン公認チャンネルの国営番組へ向かう前に、まずサンクトペテルブルクの街の通りへ出てみたかった。ロシア流のユーモアのセンスを少し身につけるために。
Ivan Urgant:イワン・ウルガント、1978年レニングラード生まれ、サンクトペテルブルグ国立舞台芸術アカデミー卒業、TVタレントの他、俳優、ミュージシャン、プロデューサ業も手掛ける、祖父母も俳優で祖父方の血からロシア系ユダヤ人だと名乗っている、ユーロヴィジョン2009のプレゼンターを務めた。
sanctioned:(権力筋から)裁可、認可された。
take to:(場所に)赴く、向かう。
airwave:エアウェーヴ、放送電波、チャンネル。
hit:(場所に)着く、到着する。

「ロシアで古典的なジョークっていったらどんな感じ?」と質問するスティーヴン。カラスが飛んだ、だな、とロシア人。カラスが飛んできて、止まれの標識にぶつかるんだ。それが音を立てる。ボーン、ボーン、ボーン。それは止まれの標識に書いてある言葉だという。止まれの標識が止まれの音を出している。「オーケイ」と、訝しげな表情のスティーヴン。

民衆との対話は済んだ。今度は深夜のコムラドと会話する番だ。イワン・ウルガント本人とロシアでコメディーをやるときの障害について打ち合わせた。
comrade:コムラド、同僚、仲間、同志、共産党員。

スティーヴン「禁止事項について話したい。ショーで言ったらいけないこととかある?政治的な発言とかしても大丈夫かな。」

ウルガント「あんまり政治の話ばかりしない方がいいよ」

スティーヴン「トランプの話なんかするの?」

ウルガント「時には」

スティーヴン「僕のショーではトランプの話ばかりしている」

ウルガント「だから合衆国でナンバー1なんでしょ。大統領に感謝だな。」(*レイトショーの視聴率がジミー・ファロンを抜いて一番になったスティーヴン。おめでとう。)
from time to time:時々。

僕の番組はどちらかと言うとジミー・ファロンだ、ジョン・オリバーというより、と説明するウルガント。プーチンは君の番組を観てるの?と、スティーヴン。分からない、とウルガント。メモを見せる。エミー賞の受賞歴は?とスティーヴン。プーチンについて訊くこと、彼は裸で馬に乗るのが好きなのか?と書いてあるのを発見するウルガント。「これは言わないぞ」
Jimmy Fallon:ジミー・ファロンは、NBCのレイトショー番組『ザ・トゥナイト・ショー』のホスト、スタイリッシュな雰囲気で安定した人気を誇る。
John Oliver:ジョン・オリバーはイギリス人のコメディアンで日曜の夜HBOで『ラスト・ウィーク・トゥナイト・ウィズ・ジョン・オリバー』という時事風刺トーク番組をやっている、強烈な個性で社会現象化している、スティーヴンと仲が良い。

そしてついにロシア・デビューの準備は総て終わった。

ウルガント「スティーヴン・コルベアをご紹介します!!」

大袈裟なお辞儀。ボリショイ・バレエ団を意識しているのか。

スティーヴン「ロシアの人達を愛しています」

ウルガント「なぜ突然愛し始めたのですか?」

スティーヴン「フレンドリーだから。歓迎してくれた。昨夜、サンクトペテルブルクで通りに出てみたんだ。」

ウルガント「ロシアに来たのはこれが始めて?」

スティーヴン「これが始めてだ」

ウルガント「ソヴィエト連邦に来たことは?」

スティーヴン「その質問に答えるには弁護士を用意して欲しい」

スティーヴン「出れて、とても光栄に思っている。ロシアでナンバーワンの番組だから。これは国営放送の番組で、君は職務上、国家公務員だ。そして僕達は出演に合意した。ほら、なんて言ったっけ。我々は『共謀』した。アメリカに戻って上院情報委員会でロシア人との共謀について証言する前に、機会を与えてくれたことにあなた方に感謝したい」
collude:共謀する、トランプ大統領のロシアゲート報道で頻繁に使われる単語。
senate intelligence comittee:上院情報委員会、コーミー前FBI長官やセッションズ司法長官等の証言(公聴会)が記憶に新しい。

ウルガント「お互いの国の間で色々あるけど、僕たちは友達であるべきだ。ロシアでは友になる前に議論を戦わせる。つまり、喧嘩するんだ。殴ってみて」
quarrel:口喧嘩する、不平を言う、咎め立てる。
to put it simply:平たく言うと、つまり。

ウルガントを引っ叩くスティーヴン。スティーヴンの眼鏡をへし折るウルガント。さあこれで友達だ。

ドヤ顔でもう一個、眼鏡を取り出して掛けるスティーヴン。

スティーヴン、君のために用意した。『ロシアン・ロシアンルーレット』というゲームのコーナーだという。

.。*゚+.*.。.. イワン・ウルガントの『ロシアン・ロシアンルーレット』 ..+..。*゚+

回転させて、矢印が指したショットを飲む。乾杯しよう。ロシアでは乾杯するのが大好きだという。君はロシアのために乾杯しろ。僕はアメリカのために乾杯する。やってみようか。

スティーヴン「喜んで。ピクルスはどうするの?」

美味しそうなピクルスに手を出そうとするスティーヴン。ダメ、ダメ、ダメと制止するウルガント。ピクルスの役割は途中で分かる。君は違う人間になって米国へ戻る訳だ。違う人生になるんだよね。ほくそ笑みスティーヴン。さあ回して。これだろな。気をつけて取って。乾杯して。飲んで。そしたらピクルスについて教えるから。

乾杯するスティーヴン。「素敵で優しいロシアの人たちに。トランプ政権の誰一人としてあなた方に会ったことを覚えていないのが理解出来ない

(拍手喝采)

ピクルスを直後に食べないといけないという。(*喉や胃が焼けるのを防ぐロシアの習慣)

これ全部ウォッカなの?と訊くスティーヴン。勿論だ、とウルガント。回転させる必要あるの?何故ならばロシアン・ロシアンルーレットだからだという。全部、実弾。ロシアへようこそ。つまり自殺だ。

ウルガント「偉大なる国に乾杯したい。アメリカ合衆国だ。インターネットを発明した。お陰で合衆国大統領の選挙の結果に影響力を行使できた

スティーヴンに負けず劣らずの過激ジョークを飛ばすウルガント。熱心に拍手するスティーヴン。ピクルスの匂いを嗅ぐウルガント。嗅ぐだけ?食べないの?心ゆくまで嗅いだ後に口に入れる。

発表したいことがあるという、スティーヴン。「僕は今ロシアでこのショーに登場している。これアメリカでは観れないよね?」

ウルガント「場合によるんじゃないかな。トランプタワーで観てるかも

スティーヴン「どうせトランプは何も覚えていない。ここに来た理由は、2020年の大統領選に出馬しようと思っている」

ウルガント「ちょっと待って、ちょっと待って、ちょっと待って」

スティーヴン「中間業者を入れないで自分で直接ロシア人に言った方がいいと思ったんだ。僕の選挙に非公式な立場で協力したい人は言って欲しい」(*ロシアゲートのパロディー)
cut out the middleman:中間業者を省く、生産者から直接買い求める。
in an unofficial capacity :非公式な立場で。

ウルガント「ゲームが終了してしまったじゃないか。それは全部呑んだ後に発表する筈だっただろう(*全部呑むつもりだったのか)。未来の合衆国大統領と一緒に飲めるなんて非常に嬉しいと言わざるを得ない。君に。幸運を祈る。君が大統領になれるように我々の側で出来ることは何でも協力する」
our end:我々の側、テーブルの端や電話線などの端から。

スティーヴン「スパシーボ(*正確にはスパシーバ、ロシア語でありがとう)強きアメリカと強きロシアのために!」

ウルガント「スティーヴン・コルベアでした!!」

帰る前に、深夜のコムラドに大切な贈り物をしたかった。

スティーヴン「カラスが飛んできたんだ。黒い鳥。カラス。止まれの標識に当たって…音がしたんだ。ボーン、ボーン。ボーン」

これまで生きてきて、聞いたジョークの中で一番面白いよ、とウルガント。

スティーヴン「有り難う、イワン!!」

Stephen Makes His Debut On Russia's 'Evening Urgant'

Stephen Makes His Debut On Russia’s ‘Evening Urgant’ Jul 17, 2017 The Late Show with Stephen Colbert

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