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レイトショーホストが遂にポスト=コルベアレポーの自分の声を発見

サイトを開設して1年以上、スティーヴン・コルベアというのがどういう人か全然説明していない、オープニングモノローグを全く扱っていない、大統領選挙が終わり大きな変化が起きているのに何事もなかったように続けていいのか、といった問題をクリアするために、ここで11月のNPRのインタビューをご紹介したいと思います。コメディーセントラルで9年間人気を博した保守知識人のパロディーを止め、CBSレイトショーでポスト=レターマンを務めるようになった経緯。声が掛かったから止めたのかと思ってたら、その前に良心の呵責で自分で止めたんだとか。

番組サイトはこちら(トランスクリプトがあります): Fresh Air: http://www.npr.org/2016/11/02/500303201/late-show-host-stephen-colbert-says-hes-finally-found-his-post-report-voice

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Fresh Air : NPR, November 2, 2016 2:02 PM ET

テ: フレッシュエアーの司会のテリー・グロスだ。ゲストはスティーヴン・コルベア。一年ちょっと前に『ザ・レイトショー』を引き継いだ。デイヴィッド・レターマンの引退後だ。選挙の夜には特番を控えている。CBSは自局の報道番組をやるので、コルベアはショータイムで11時から深夜まで生放送をやる。( “Stephen Colbert’s Live Election Night Democracy’s Series Finale: Who’s Going To Clean Up This Stuff?” )

2年前に『ザ・コルベアレポー』を終わらせてこれまでのペルソナを捨てた理由と、コルベアバージョンの『ザ・レイトショー』を作り上げ仮面を脱いだ自分を発見するのはどんな感じだったかについて話をする。『ザ・レイトショー』では毎晩選挙のコメディーをやっている。まずは昨夜のオープニング・モノローグ(その日の出来事を扱う、ホストのトーク)の抜粋から。

NPR:ナショナル・パブリック・ラジオ、アメリカにいくつかある非営利公共放送の最大手でDCを拠点にしている、初放送は1971年4月ヴェトナム戦争の上院公聴会。
Showtime:ケーブルと衛星放送のペイチャンネルでCBSの子会社、1976年開局。
preempt:予定したものに取って代わる、pre-empt。

スティーヴン「ドナルド・トランプにとっては上出来の週だ。支持率が上がった。またしてもヒラリーのEメール・スキャンダルのお陰だ。新聞の公認を取るのは2回目だ。ジャーナルだろうか?それともポスト?いいや、白人のクリスチャン・アメリカの政治的な意見を伝えるザ・クルセイダー紙だ」

(爆笑)

スティーヴン「そう、ドナルド・トランプはクー・クラックス・クランの機関紙に支持されてきた。白と白と白のものはなに?の答えがやっと解った」

スティーヴン「君たちは分からないが僕の最初の反応は、何でそんなに時間が掛かったんだ?だった。クランは迷ったのだろうか?ジル・スタインでもいいかも?」
*緑の党副大統領候補のアジャム・バラカがオバマ大統領を「アンクル・トム」と揶揄。それについて尋ねられ、同じ意見だと述べた件。

ジョン・バティステ「だな」

スティーヴン「それともやっぱりジェファーソン・デイヴィス?誰にしようか決めらんない」

poll number:世論調査の数値。
The Journal:ウォールストリート・ジャーナル、ダウ・ジョーンズ社が発行する日刊経済紙、世界的な影響力を持つ業界紙。
The Post:ワシントンポスト、首都ワシントンDCの新聞、世界的な影響力を持つローカル紙。
What is black and white and red all over?:一面黒と白と赤のものはなに?というなぞなぞで、答えは新聞。red(レッド)とread(レッド=読まれる)を引っ掛けている、元ネタかと。
on the fence:どっちかつかずの、日和見的な態度で。
Jefferson Davis:ジェファーソン・デイヴィス、1861年2月18日~1865年5月5日アメリカ連合国(南部連邦)大統領。

テ: 新しい番組おめでとう、といってももう一年以上も前だ。話すのはそれ以降始めてだ。

ス: また呼んでくれて有り難う、君と話すのは楽しい。

テ: わくわくしている。(中略–選挙の夜の特番を再び紹介)ショータイムに出るときは素っ裸(バック・ネイキッド)になるという約束があるのできっとバック・ネイキッドという名のキャラで登場するのだろう。

ス: 誰かが裸で登場する。恐らく上院の選挙結果を知らせる人達が青い四角で股間を隠して登場する。

テ: 股間の話題は最近よくニュースになるので選挙には不適当ではないかも知れない。

ス: 僕はトングを着用しておく。万一に備えて。

テ: (爆笑)

テ: どういうもになるのかもっと説明できないだろうか。

ス: 普段の僕の番組みたいになる。時事ネタのジョークだ。なぜショータイムなのか、自分でもよく分からない。2ヶ月前、秋のスケジュールの打ち合わせで、ショーランナーのクリス・リクトが選挙の夜だから勿論番組はないと言った。それは一体どういう意味だ、と聞いた。党大会のライヴをやって公開討論のライヴをやったのに何故選挙の夜が休みなのか。スコット・ペリーが放送するからさ、と彼。そりゃそうだ、僕も馬鹿だな、と僕は言った。何か方法ない?

リクトがショータイムに電話したら乗ってきた。だから出掛けて行くけど、普段やってることをやりたい。それは早撃ちみたいなものだ、素早くいくつコインを撃ち落とせるか…

buck naked:butt nakedと同義、素っ裸で。
shourunner:ショーランナー、北米の業界用語で番組の現場責任者。
tong:トング、前だけ隠して後ろは紐みたいなパンツ。
Scott Pelley:スコット・ペリー、ジャーナリスト、CBSニュースのアンカー。
trick shooter:トリックシューター、早撃ちや曲撃ちの名人、アニー・オークリーなどが有名。

ス: いくつニュースを撃ち抜けるか、地面に落ちる前に。それから政治家のパネリストに、エンターテイナー、ゲストの演奏(*言葉通りミュージカルのゲストかも)。選挙の夜だから純粋に政治的な方向だ。それからライヴで開票結果。まぁ観てのお楽しみだ。

テ: CBSでは使っちゃいけない言葉も使える。

ス: それとNPRでの禁止用語もクソ勿論だ。クソ勿論てNPRで言っていいの?

テ: そう願うわ。

ス: 楽しみだ。CBSでセンサー音で消された言葉全部のクリップを流すかも知れない。でもそんなに過激なものにはならない。CBSではヒントを言うのもダメなんだ。

politico:政治屋。
panel:会議などで意見を述べる識者たち、パネリスト(集団)。
bend:曲がり角の意味があり、ここではそっちの方向へ曲がること。
-wise:~に関して。
damn sure:クソ勿論、全くその通り。
euphemism:婉曲表現。

テ: 自分の表現スタイルを締め付けられてるように思わないか。

ス: それが好きだ。この上もない。つまりロードレースは楽しいが、障害物競走は観ていて更に楽しい。馬鹿臭いルールを飛び越えなくちゃならんというのは、ジョークをいう絶好の機会だ。

テ: 『ザ・コルベアレポー』ではあなたはFOXニュースを念入りにフォローしなければならなかったけども、というのもあなたのキャラがビル・オライリーをベースにしていたので…

ス: 実際にはビルのシリーズは殆ど観ていない。頭の中にイメージはあった。一般ニュースしか観ていない。基本的にあまり受け付けない。

テ: でも今でもFOXニュースは観る必要があるのでは。

ス: 右翼的な見方を知るためにスタッフとネタは拾う。

テ: FOXニュースを去る羽目になったロジャー・エイルズのセックススキャンダルに特に興味があったりとか。

ス: 恍惚の余り張りぐるみの椅子の上で白目剥いたという意味ならそう。

steeplechase:障害物競走(競馬)。
Bill O’Reilly:ビル・オライリー、ジャーナリストとして大成しなかったのでポスト911ブッシュ時代に偏向報道で有名なFOXニュースの顔となり、魔女狩り紛いの放送で世間を騒がせた保守の色物評論家。
rake:熊手でひっかき集める、くまなく探す。
take on:~についての見方。
Roger Ailes:ロジャー・エイルズ、FOXニュースの元会長兼CEO、「FOXニュースは家族的価値観を尊重するふりをしながら、舞台裏はセックスを燃料にするプレイボーイ・マンションのようなカルトだ」という女性キャスターらのセクハラ訴訟で辞任。

ス: 信じられないことは、共和党大会の最初の週の終わり(*7月)に起きたことで、ジョン・スチュワートにその夜のサプライズ・ゲストで登場して貰うよう手配済だったことだ。その瞬間を、ロジャー・エイルズのカマペンス(当然の報い)かカムダウンス(失墜?)か知らないけれど、僕のデスクでジョンと分かち合えたことだ。願ってもない最上の結末だ、炎のメテオがエイルズの残りのキャリアとなったであろう荒野の惑星に衝突するので、我々は一緒にいなければならなかったのだ。

https://www.youtube.com/watch?v=mNiqpBNE9ik&list=PLiZxWe0ejyv9kPLT5IQ1l56-kQs-rEcoH&rel=1&cc_load_policy=1

テ: トランプTVに雇って貰いに行かない限り?

ス: エイルズが告発から逃げ切れると思ったら大間違いだ。暴露された素行の汚名が消える日が来るまで心臓が持つとは思えない。

comeuppance:当然の報い。
consummation devoutly to be wish’d:「願ってもない最上の結末」、ハムレットの台詞。
shake off:振り払う、取り除く。
tar:にタールを塗る、に汚名を着せる。

テ: 『ザ・コルベアレポー』のキャラは止めたが、FOXニュースは未だに観てるのかそうでもないのか。

ス: 元々FOXニュースは観ないし、放送中に話題にしたこともない。250話に1回ぐらいならあるかも。

テ: それはなぜか。

ス: どうでもいい。メディア評論家じゃないし。前の番組ではメディア批判をやった。僕はコメディアンだ。FOXニュースを観る本当の理由はメディア批判だ。FOXニュースやMSNBCでやっている感情的な大騒ぎに巻き込まれるより、幅広い視野で物事を観たい。政治的な喧嘩で快楽を得る者にとって二極化はヘロインのようなものだが、僕にはもう興味がない。

それよりはニュースそのもの、人がニュースについて何を言ってるかではなく、何が起きているか語りたい。

engaged in:~に従事して。
scope:領域、視界,視野。
gratification:満足、大喜び。
strife:不和、反目、敵対、けんか。
polarization:両極端に分裂すること。

テ: ここでレイトショーからのクリップをもうひとつ、10月28日分の放送から。ミガン・ケリーとニュート・ギングリッチのいざこざ、ケリーがドナルド・トランプの女性を性的に食い物にするような素行について質問した後、ギングリッチがケリーをセックスに興味津々で公序良俗を乱していると批判、ケリーは女性を守ることに興味があるのだと反論した。

スティーヴン「つまり、『ミガン・ケリー・ファイル』はベッドルームでのお愉しみの話ではない。彼女は暴行について話しているのだ。いや待てよ、ニュートには違いが分からないのかも知れない。誰も教えてあげなかったのかも」

スティーヴン「ニュート、坊や、お前は急に成長したね。73歳だ。お前の体は変化してるんだよ。見慣れない毛が耳たぶに生えてきただろ。それは自然なことだ。鳥やミツバチやコンセントについて学んでもいい年だ。あのね、男性が女性に特別な感情を抱く時に、特別な抱擁をしたいと思う。彼は彼女に特別な質問をする。やらないかって。でも、お前がTVのスターだからってレディーに掴み掛かるのはセックスではない。暴行だ。豆知識だ。暴行は公序良俗に反する。なぜならチックタックを食べててもそれは犯罪だからだ。」
*ドナルド・トランプがキスする場合に備えてチックタックを食べているとコメントした件への揶揄。チックタックUSAは、チックタックは総ての女性の意見を尊重するものであり、トランプ氏の発言と振る舞いは不適切で受け入れられないと批判。

スティーヴン「これで分かったかな。セックスについて説明しようかと思ったけど、お前がやってるとこ想像しちゃうだろ」

Megyn Kelly:ミガン・ケリー、FOXニュースの人気女性キャスターで法律家、討論会司会で女性蔑視発言を追求、ドナルド・トランプが逆切れした他、ロジャー・エイルズ退陣にも一役買った、『ミガン・ケリー・ファイル』はFOXニュースの彼女の番組。
Newt Gingrich:ニュート・ギングリッチ、元共和党下院議長、2012年大統領選に出馬、指名争いでロムニーに敗退。

The Kelly File:『ザ・ケリーファイル』はFOXニュースでやっているミガン・ケリーの番組。
whoopee:セックスのこと。
assault:(法律)暴行。
sweetheart:恋人に対する呼び掛け以外に、感じの良い人物や優れた人物、大好きな相手などに使う。
fun fact:豆知識。
Tic Tacs:チックタックはイタリアのフェレロ社が出しているミントキャンディー。

テ: 面白すぎる。どうやってそういう描写を思いついたのか、少し振り返って貰えないだろうか。

ス: 朝、ピッチの打ち合わせで誰かが昨夜のニュートのこと聞いた?と言った。知らない、何があったの?話を聞いて、2人の感情の発露が面白いなと思った。ミガン・ケリーは防具をかなぐり捨てて、分かった、そういうことを言うのか、と。普通にインタビューを受けて重装備で辛辣な言葉を吐く代わりに、好きなようにおやりなさい、とやった。ニュースの時間にしては、感情的なひとときとなった。

http://edition.cnn.com/videos/politics/2016/10/26/megyn-kelly-newt-gingrich-face-off-donald-trump-bill-clinton-sexual-assault-accusations-ctn.cnn

sketch:素描、寸劇。
come up with:思いつく、考え出す。
pitch:ピッチ、30秒ほどの短いプレゼンテーションのこと。
with ease:容易く。
barb:矢じりのかかり、辛辣な意見。

本当に面白かった。絶対やりたかったので、起きたことを総て出来る限り素早く美味しい部分を残さないよう話し合った。それはかつての方法とは違う。昔の僕はいつもジョン・スチュワートの轍に沿ってスキーで滑ってるようなものだった。チキンはジョンのものだったし、その日のニュースの藪の中からベリーを拾い集めて食べるのもジョンだ。僕らは狩猟採集民のようなものだ。採集はジョンがやる。その日に実ったナッツやベリーを残らず。それから2人でハンティングだ。ひとつの話題を一週間話したりする。または3日か4日後にやるアイデアを考える。あるいは2週間かけて発展させ、自分のキャラでどうやるか考える。

今は過去24時間にニュースあるいはポピュラーカルチャーの中で起きたことを、どれだけ早く話題にできるかだ。昔2人でやってた頃よりずっと早くなっている。ゴーカートからNASCARになったが同じ広告スティッカーを車体に付けているという、僕のジョークみたいだ。

in one’s wake:人の通った後(を通る)。
hunter-gatherer:狩猟採集民。
go-kart:ゴーカート、遊戯用または競技用のミニマムでシンプルな小型自動車の商標名。
NASCAR:ナスカー、National Association for Stock Car Auto Racing, 全米自動車競争協会。

テ: 一個人として、または逆にTVのパーソナリティーとして、この選挙には特にエネルギーを費やしてると感じているか。影響があるとすれば、どのように対処しているのか。

ス: これはとても感情的な選挙だし、終盤になるにつれ益々感情的になることも予測がついている。この選挙が特に感情的なわけは、候補者2人が釣り合いが取れてないからだと思う。ヒラリー・クリントンみたいに長い間政治の中心に居て、悪く言えばワシントンDCに蔓延る構造的な腐敗に浸りきっているが、彼女の経験があれば罪を未然に防げる。この複雑な世の中ではある程度は仕方がないとはいえ。

ドナルド・トランプは我々の政治史上では途方もなく常軌を逸している。独裁者と火遊びをしたことだけはなかった。少なくとも大統領候補では。危険が大き過ぎる。なので感情が昂じる度合いも前例がない。

invested in:時間やエネルギーを割く。
pejorative:軽蔑語。
steeped in:没頭している、染まっている。
strongman:独裁者。
stakes:賭け金。

テ: すると面白いことをやって観客を喜ばせるだけでなく、自分のコメディーに対し議論を吹っかけたい気持ちがあるのでは。この選挙をもっと考えろ、どんなに重要か、とか、候補者に対する僕の意見はこうだとか。

ス: 僕がドナルド・トランプをどう思ってるかについて曖昧だったことはないと思う。なので口で説明するより、身振りだ。天辺がオレンジ色に燃えた死体みたいな巨体がよろめき歩いてくるぞ。触らない方がいい。狂犬病かも知れない。でも僕が反ヒラリーを中心にやらないからといって、ヒラリー・クリントンのために反トランプを主張しているわけではない。ヒラリー・クリントンについて皆が感じている躊躇には十分根拠があると思う。

我々はありえない状況に置かれている。逆にヒラリー・クリントンが勝てるのはトランプぐらいかも知れない。彼女は素晴らしい候補者とは言えない。欠陥が多すぎるし、振り払えない厄介な荷物が多すぎる。しかしながら経歴や準備という点では彼女だろう。

テ: CBSからコメディーの中では公平に扱うようにとお達しは来なかったか。それともコメディー、特に風刺においては公平でなくても良いという了解があるのか。

ス: CBSから内容の注意を受けたことは全くない。

テ: それはとてもハッピーに違いない。

ス: 勿論だ。ネットワーク局の仕事をする上で最も神経質になる部分だ。そこでは秤は正確ではないが、その自動車会社の話は出来ないとかそれだけだ。この自動車会社を話題にしてもいいだろうか、スポンサーじゃないよね?でも、ケーブル局ではもうそんなことはない。自動車会社でも電話の会社でも、ニュースに出てくるものは総て不干渉だ。びっくりするぐらい邪魔は少ない。

テ: それを聞いて嬉しい。

ス: 僕もだよ

even-handed:公平に。
a shred of:かけらも。
absolutely:(返事)勿論だ。
thumb on the scale:秤の上の親指=有利になるよう影響力を行使する。
hands-off:干渉しない。

『ザ・コルベアリポー』を止めた経緯について(15:20)

テ: ザ・コルベアレポー』を終わりにする時が来たと考えた理由は?

ス: 右翼賢人キャラをやるのに興味がなくなっていたし、足手まといになってきた。自分のやりたいことがあのキャラ以上のものになった。はっきり言うなら、自分の作ったモデルが尊敬出来なくなった。

テ: 待って。それはどういう意味か。

ス: あれはビル(オライリー)だと言われていたが、というよりは一般的な評論家の先生、事実を顧みないで確信に溢れ、皆が信じたがっているものを見せる。それが番組全体の命題だった。どう受け止められるかの方が事実より重要で、事実が裏付けするものより正しそうに思えることの方が重要、ということを我々は番組の中で簡潔な方法で表現した。皮肉っぽく具現化してみせた。特別新しいアイデアではない。僕らが番組を止めてからの方が、色々増大しているようだが、僕としてはもうこの遊びはやりたくない。

たったひとつの主題文を再確認する毎日だった。迷いが生じたときは、正しそうに見えることとは何だとマントラを唱えるように自分に繰り返した。君のためだ。僕は見張る。君の肩越しに。背後は大丈夫だ。観客と特別な関係だった。僕らだけの世界。僕らにしか分からない。同意するなら君を愛す。君も自分を愛せ。なぜなら僕も君に同感だから。

こういうエモーショナルな考え方を毎日思い出さなければならなかった、あのキャラでいるためには。毎日ステージに立つ前にこう考えた、ここまで来たんだからパアにすることはない。

終わりの頃はもう楽しくなくて、台無しにしそうな気がしていた。ある日、あのキャラを演じるのがもう無理で、本当に高級磁器一式を取り落として全部割ってしまいそうだった。

game:遊び、娯楽、遊戯、楽しい出来事。
punditry:偉そうに批評断定する人、もの知りぶる人、語源はインドの賢者。
truthiness:真実だと信じたいこと、本当であって欲しいこと。
thesis statement:主題文、結論。
go off:立ち去る。
far:(経過・程度などが)進んで、一定の点まで(副詞)。
blow:へまをやってダメにする。
China:磁器。

テ: 事故で?

ス: そうだと思う。つまり、瓶をいっぱい抱えて坂道をけつまづきながら下ってるみたいに感じ始めて、これ以上規律を保つのが困難だった。キャラになりきらなきゃダメだと毎日自分に言い聞かせるのに規律が必要だった。自分自身になったらいけない。そして逆に、自分自身になったらどうなるのだろうと思い始めた。

終了する2年前ぐらいにあと2年で終わりにしようと決めた。これが最後のシリーズだ。カレンダーを眺めたのを覚えている。決心は誰にも告げずに。2014年の最終回はいつ?って言った。18日だよ。18日の木曜日だ。分かった。その日に丸を付けた。このキャラをやるのは、この日で最後だ。この番組をやるのはこの日で最後だ。

嫌いになったわけじゃない。今でも好きだ。ただ、誰かを傷付けないで続けるのがもう無理だと思った。

テ: 誰かを傷つける?

ス: そう。

テ: それはどういう意味?

ス: 分からない。感覚だ。あのキャラの発言で大きな間違いをしでかすような気がした。酷いことばかり言って。でも僕は逃げられる。あのキャラの仮面というフィルターを通せば。仮面のメンテナンスを怠ると、僕が酷いことを言ってるだけになる。

ヘイト的な発言や、誰かを傷つける発言をするかも知れない。自分に厳しくやらないと。失敗は許されない。完璧なパフォーマンスという意味ではない。

規律を保たなければならなかったが、それを失いそうだった。規律がなくなったら、茶化してる対象そのものになってしまう。

downhill:坂を下って。
keep up:維持する、保持する。
discipline:(不可算名詞)抑制、自制、規律、懲戒。
round:ラウンド、(時間、出来事の)一巡、完結した連続した一連のもの。
hit(ring) the bell:何かを思い出させる、とことんやっつける。

テ: 『レイトショー』のホストの話を知ったのはいつ頃?『ザ・コルベアレポー』を止める前だと思うが。

ス: 青天の霹靂だった。完全に『ザ・コルベアレポー』を止めるという僕のプラン外だ。止めると決めてから文字通り数年後だ。全くのサプライズだ。僕の野心外だった。デイヴ(レターマン)の大ファンだった。彼の築き上げたものをとてもリスペクトしていた。でも電話が掛かってきてやらないかと言われた時は衝撃だった。

テ: すると『ザ・コルベアレポー』を止めようとしてたときに次に何をやるかは分かってなかった。

ス: そう。

テ: 将来をどう考えてたのか?

ス: 分からない。俳優だろな。

テ: そうなの?

ス: そうだ。僕は俳優だし。俳優として始めた。10年間演技をやってた。

テ: それでは、『レイトショー』のオファーを受けた時、本当は俳優をやりたいからこれはどうかな、と思ったか。

ス: まあ、いろいろ考えた。でも誰かが雇ってくれるか、自分のプロダクション会社を始められるか、自分のプロジェクトを作れれば、逆に俳優は好きな時だけできると分かっていた。こんな機会は二度とないだろう。生の観客が大好きだ。決まりきった日課をこなすのが好きだし。一緒に仕事してる仲間が好きだ。自分の好きなことが全部やれた。

決めるのは難しくなかった。やりたくないことだけ止めて、それ以外の深い満足を得られる状況は全部残ってると考えれば。

つまり過去24時間に起きたことに関する番組という特権、いや過去1時間、過去30分だ、最近のニュース・サイクルの速度は。生のスタジオの客の前で、そこにいるだけで楽しい、愛する仕事仲間とともに一丸となって働くことは、中毒性がある。

大変であればある程、一日の最後に観客の前で、大きな開放感が得られる。友人たちとそれを続けられると知っては抗いがたかった。それに『ザ・コルベアレポー』の後では出世といえるようなものはデイヴの後を継ぐぐらいだ。この凄い機会を逃したら僕は大馬鹿だ。その気になれば死ぬまで俳優は出来るが、この仕事は今しか出来ない。

fall out of the sky:天から落ちてきた。
aspect:様相、性質、解釈、面。
given:(文頭)~を考慮に入れれば。
drug:麻薬。
draw:呼び物。

テ: 対照的な『レイトショー』を始めて『ザ・コルベアレポー』のペルソナを捨てることに成功した時、自分の純正の声となるだろうものは分かっていたか?つまり現実の自分なのか?まだステージ上のエンターテイナーとしてのペルソナがある筈では?

ス: 分かっていなかった。発見するのは観客だ。他の人のジョークだけど、人生とは人前でバイオリンを弾きながら学ぶようなものだ。やってみるまで分からない。学習曲線がオンエアされることになると思ってた。あのキャラを止めたことでどの位、過矯正になるかは予期していなかった。

テ: それはどういう意味か。

ス: 政治については話さなかったし。その日の出来事に関するモノローグ(ホストのトーク)も最初はなかった。あったことの話をしたとしても、深く練ってはいなかった。目的はなかった。昔やってたこととは違うことをやろうと思っていたので、正直な話はしなかった。過矯正だというのは、つまり、昔のキャラは意図せずに実際には凄く正直な話をしていた。

テ: 視聴者としてそういう風に感じていた。

Life is like playing a violin solo in public and learning the instrument as one goes on.:「人生とは人前でヴァイオリンを弾きながら同時に楽器を習うようなものである」サミュエル・バトラー、英国の詩人。
learning curve:学習曲線。
anticipate:予期する、見込む、期待する。
overcorrect:過剰矯正、直し過ぎ。

ス: 教会での告解のようなものだ、キャラの仮面を被るのは。神父と顔を合わせるより仕切りの後ろにいる方が話しやすいのと同じ理由だ。あのキャラは10年間の告解だ、エゴと欲に耽溺した。しかし今はステージ上で自分自身になり、言ったことは総て自分の責任だ。

そうなると自然に手加減してしまう。発言の責任を取らないといけないから。仮面の後ろに隠れられない。しかももし、政治の話ばかりするとした?もう1人のあの男がやってたことではないのか。なぜ僕、というか僕らは、ニュースの話ばかりしているんだ。これでどこか自分は変わっただろうか。

2つのキャラは相反しないことに気がつくのに半年はかかったと思う。自分の意見ばかり言う、時事ネタばかりの番組を、自分自身としてやりながら、基本的には『ザ・コルベアレポー』のバスケット内に退却したわけではない。

今は辛辣だったり皮肉だったり独善的になることに良心の呵責は感じないし、同じ遊びを繰返しているのではという心配なしに思いついたことを何でもすぐ話せる。とはいえレポーのキャラの再発という危険がないことに気付くまで暫く掛かった。

テ:  冒頭でもっと政治風刺をやり始めた時は喜んだ。

ス: 僕もだ。前よりずっと楽しめる。客も楽しんでいる。もっと正直にやっているし、実は、僕が一日中耽ってる部分だ。

screen:教会などにある装飾的な仕切り。
pull one’s punch:手加減する。
mutually exclusive:互いに矛盾する、相容れない。fall back:退却する
opinionated:自説に固執する、独善的な。

テ:  (選挙の夜の特番の紹介)

ス: (タイトルに関して)スタッフ(もの、がらくた)で十分だろう。(’Who’s Going To Clean Up This Stuff?’ –誰が片付けるのこの…shitですかね)

テ:  本当の言葉はここでも言えない。

ス: だからショータイムでやるのさ。

『ザ・レイトショー』について(26:36)

テ: ここでクリップをもうひとつ。とても最近の、10月25日放送。背景は『レイトショー』のホストを始めて数週間(つまり去年)のジョー・バイデンのインタビュー。番組の中で大統領に立候補するかどうか尋ねた。バイデンは立候補しない理由として出るなら110%の力を出さないといけないが、息子のボーが亡くなったところなのでそれが出来ないと説明。クリップはウィキリークスに言及されてることを発見した話だ。

スティーヴン「本日、『レイトショー』は、我々がウィキリークされたことを発見した。僕も嬉しい。ご存知のようにウィキリークスはクリントン・キャンペーンのEメールをリリースしている。なぜならトランスペアレンシーに総てを捧げているから。ロシア語ではどう言うんだろか。トランスパレシュニク」

スティーヴン「ジュリアン・アサンジは新たなウィキダンプをピンチアウトした。それにはこの番組にジョー・バイデンが登場した時のEメールが含まれている。チーム・クリントンはバイデンが重要な発表するんじゃないかと疑っていた。スタッフの1人がこう書いた。自分の予想ではバイデンはコルベアの番組で出馬を発表する。ニュースがない限り登場させるとは思えない。そりゃそうだよ、その通りだ。なぜ僕がニュースもないのに合衆国副大統領と話すんだ?退屈な会話をする羽目になるだけなのに、ジョー・バイデンと」
*その後まさかジョー・バイデンがレイトショーで2020年の出馬表明をすることになろうとは。 https://www.youtube.com/watch?v=BoQzqQ9RUxs&list=PLiZxWe0ejyv9kPLT5IQ1l56-kQs-rEcoH&rel=1&cc_load_policy=1

テ: 物凄く面白いと思った。『ザ・コルベアレポー』のキャラなら大喜びしただろう。世界中が彼を中心に回っているのだから。彼はそういう風に解釈する。ヘイ、ウィキリークスも僕に関してだぜ。そんなに凄いことか?でも自分自身になった今は、違う風に受け取らないといけない。

transparency:トランスペアレンシー、透明性。
pinch out:ピンチアウト、タッチパネル上の操作。
dump:データの書き出しの他に、ゴミの山やウンコの意味も。
staffer:スタッフ、職員、部員、staffに比べると「ヒラ」のニュアンス。
you got me there:あなたが正しい、参りました、降参。

ス: でも自分がニュースになるのは好きさ。それは昔のキャラの告解の一部でもある。キャラに自分のエゴの肩車をさせておいてそれは自分じゃないふりが出来た。でも、僕は待ってたんだ。勿論、ウィキリークスに出るだろうって。ミセス・クリントンは2回も出たし、ジョー・バイデンも、ファーストレディも出た。ティム・ケインも。ほんの少しだがジョン・ポデスタと面識もある。関係者として出て来る筈。

前の番組の僕だったら、ウィキリークスに出ることを要求しただろう。名前が出るまで待ったりなんかしない。彼ならこう言う。これは嘘だ。本物のリークじゃない、とか、俺なら全部知っている。俺は超大物だ。何かが、おかしい何かが、とか。でもリークが始まった時に、僕は実際にこう言った。僕らが出て来るかも知れないからよく見とこうってよ。いつか出て来ると思ってた。

本当にワクワクした。大ニュースとして発表こそしないけど、それぐらい幸せだ。大物気分だ。ロシアのハッカーが僕の名前を見つけてジュリアン・アサンジに渡した、それがニュースになった。これより素晴らしいことってあるだろか。

テ: そして今はアンカーのデスクに座らないでコメディーをやっている、デスクでモノローグをすることもあるけれど。

ス: そう、あそこに座っている。場面を紹介するときや、話が長いときはデスクでやる。

テ: でも時には立っている。

ス: 殆ど立ってやってる。

テ: どういう風にするか分かった?つまり歩いて行ってマイクの前に立ち、両手をどうしておくか…。

ス: それは簡単だよ。あっという間に終わるから。しかし自分にとって楽しいものにするには、それが問題なんだけど、最前列の客が微笑むのを見ると鍵が外れる。そして凄く楽しくなる。心から楽しまないと、観客が嗅ぎ分ける。あそこに立って楽しくやれるようになるまで、数カ月かかった。

番組が始まった最初の頃は冒頭で3分のモノローグをやった。今では10分だ。終わらせたくない。あそこにずっと立って観客と居たい。

テ: オープニング・モノローグの難しそうなところは、観客に受けた時にどうするかのように見える。

ス: 観客に受けた時にどうするか?

テ: つまり落ちを繰り返し言ったりする?ポケットに手を突っ込んだままで?

ス: 勃起を隠したり?

テ: (大受け)

pop up:ふいに出現する。
come up:持ち上がる。
that’s the thing:問題はそれだ。
punch line:落ち、聞かせどころ。

ス: 観客が物凄く笑って止まらない時にどうするか、確かに最も難しい部分だ。難問だ。どうすればいいか分からない。昨夜はどうだった?凄く難しかった。なぜ?観客が笑いすぎて、自分でもどうしていいか分からなかった。

テ: でも何かしないと。

ス: 何をしよう?

テ: 何かあるはず。

ス: 空中浮揚だ。足を釘で床に打つんだ。さもないと飛んで行って天井に突っ込んでしまう。何やってんだろう。風に吹き飛ばされそうだ。この世で最高の気分だ。どうしたらいいんだ。それは一番簡単な部分。スマイルだ。客がハッピーになると自分もハッピーになる。それだけのこと。難問が何か分かるかい?

テ: 何?

ス: 次のジョークを始めるためにどこまでジャンプして戻るか。

テ: 成る程。

ス: どうやってその場のエネルギーを次のジョークへ持って行くか?受け取ったものをどうやってうまいリズムで、うまいジョークで次の番に返すか。どうやったら観客の波を上手く乗りこなして、更にエネルギーを返せるか。お互いにとって実りのある関係を築けるかのようなものだ。どうやったら自分が心地よく感じている瞬間を、相手にも同じように感じて貰えるか。自分に何が返せるか。コメディというのはリズムだから、客の笑いの中のどこに突っ込んでいくかの判断に尽きる。本当に感覚で分かっていれば、判断の余地すらない。つまり客が笑っている場合は何の心配もない。

テ: つまり笑いが適度に収まるまで待てばいいだけか。

ス: その通り。これがラジオでなければグラフで説明するんだけれども。

levitate:空中浮揚。
rafter:屋根の垂木。
lean into(against) the wind:逆らって突っ込む。
reciprocal:双恵的な。

テ: やりそうだ。前は毎夜入場時に、バンドリーダーのジョン・バティステと足を上げてラインダンスした。躁状態だった。今は止めて大人しくなった。キックダンスはもうやっていない。

ス: やってない。

テ: なぜ変えたのか。

ス: 最初に番組を始めた時に、巨大なスペースだと思った。(エドサリヴァン・シアターは)ブロードウェイのステージだ。TVに映す時に、そこをどんなエネルギーで埋めるか。TVの収録に観客が立ち会う番組は散々やったから、今度は観客向けのショーにTVが立ち会う番組がやりたかった。

テ: それは大きな違いだ。

ス: 実際にやってるともっとよく分かる。僕の最初のチョイスではエネルギーのある側を間違えていた。ある時点で、カメラを通すと分からないことに気がついた。観客は僕のやることに関係なくエネルギーに溢れている。そこでムダなものを削ぎ始めた。そして残ったものがステージに歩いて行ってジョークを言うことだった。観客に余計なエネルギーを送り過ぎていた。僕1人で充分だった。ブロードウェイの舞台だから。大きなハコだ。

デイヴ(レターマン)の時代より大きくなったぐらいだ。というのは劇場は長い間、恐らくエド・サリヴァンの時代も、巨大なサウンド・セイルズや消音バッフルで窒息状態だった。劇場だと分からない状態だった。息の根を止められていた。僕らは劇場として利用出来るようにした。1927年当時の劇場を取り戻した。驚くべきスペースとなった。何かやらないといけないって気になる。

最終的に学ぶことは、考えてみれば分かることだが本能から忘れ去られていた、大きなスペースだからといってより大きなエネルギーは必要ない。自分の存在感と集中力があればいい。客席の関心さえ集められればペーパークリップを曲げて見せるだけでも、劇場中を支配下に置ける。観客が見ているのは自分なのだと受け入れれば、脚を高く上げる必要はない。そこにいるだけでいい、自分の存在感で空間を充たすのだ。

down a notch:一段階下がる。
Sails:セイルズ、巨大な布と板で覆うスタジオの装置。 http://scottymoore.net/studio50.html
baffle:バッフル、邪魔板。
choke down:抑えつける。
open up:利用出来るようにする。
bend:屈服させる、従わせる。

テ: 逆に自分自身に戻ってインタビューを行うのはほっとするのでは。自分のキャラがその人物をどう捉えるか抜きで。

ス: その2つは凄く違う。ほっとはしない。ゲストの専門について理解するのは楽しい。例えば、ニール・タイソンを呼んで、惑星探査に付いて教えて貰える。

テ: あなたのキャラはいつも無知という設定だ。

ス: いや、かかしなんだ。何に関しても、誰に対しても。無知蒙昧の固まりで、お望みとあらば論破出来る。無知が論破されないと不安になる。例えば誰かが来て、有名な宗教右翼の台頭に疑問を投げかけるとする。僕は、でも建国の父たちは全員キリスト教原理主義者でしたという。ゲストはそれ以上言い返してこない。ああ、しまった。どうしよう。アメリカを間違った風に教育してしまった。またしても。勝った。勝ちたくない。

Neil Tyson:ニール・タイソン、スティーヴンと仲がいい天体物理学者、ニューヨークのアメリカ自然史博物館にあるヘイデン・プラネタリウム館長、テレビなどで人気がある。
straw man:案山子、『オズの魔法使い』では脳みそを欲しがっていたのが思い出される、knock down a straw manには筋違いの反論を言うという意味も。
a mass of:大量の、沢山の。
should:(文頭)もし~ならば。
call into:ちょっと立ち寄る。

僕はいつも勝ちたいわけではないけど、僕のキャラは勝ちたがった。最も大きな違いは今はゲストに勝つためにやってるわけではない。一度に7秒以上話させるし。前の番組では昔ながらのジョースカーボロ・ルールを守って暮らしていた。ゲストが一度に7秒以上話すことは、番組のコントロールを失うことだった。それはもうやらない。ゲストの話したいことを聞くのが楽しい。

番組が始まった時に危険に思えたのは、自分の意見を言うことだった。当初は過矯正だったから。僕は精彩を欠いていたと思う。みんなに凄く恐れられていたので。前の番組は怖がって来たがらない人たちが大勢いた。僕のキャラクターの伝説のせいだ。ゲストの肋骨にナイフを突き刺し、観客を喜ばせるためにナイフの柄を打つような真似をする、と思われていたのだ。本当は違うけど。だからレイトショーが始まった当時は過剰に自分を矯正して、僕は何も言わないぞって。ゲストには好きなように話させるというか、総て手加減した。

そのあと大きく解放された。毎日、毎日、繰り返し番組をやっていて、極度の疲労の恩恵で疑念を捨てるようになった。そして遂にゲストと居る時に自分自身で居られるようになった。6ヶ月ぐらいのところでこう言ったんだ、オーケー、もういちいち考え込む余裕はない。本能が良いと感じるものをやるしかない。そうしたら番組の総ての面が良くなったし、楽になった。番組自体が僕みたいになった。考え込む時間がなかったから。考え込むエネルギーがなかったから。

実を言うと、ヒントをくれたのは親愛なる友人のスティーヴ・ヒギンズだ。ジミー・ファロンの番組のアナウンサーで一種のサイドキック(脇役)だ。知り合ってから何年にもなる。素晴らしい男だ。彼が言ったんだ。それでスケジュールはどんな具合だ?って。木曜日には2つ収録だ、と僕。すると彼は、ああそれは良い、きっと気に入るよって言うんだ。なぜ?へとへとになるよね。ところが彼は、その2つ目の収録みたいに、いつもやらなくちゃいけない。疲れ過ぎていれば、迷わないから。本当にその通りだった。

テ: 面白い。

ス: 今はそれが特徴になった。でも疲れてなくても迷わない。感じるままにやっている。

Joe Scarborough:ジョー・スカーボロ、トークショー『モーニングジョー』でMSNBCの朝の顔、元フロリダ州選出の下院議員。
second thoughts:再考。
Steve Higgins:スティーヴ・ヒギンズ
inform:性格づける、特徴づける。

テ: ローマ教皇フランシスコに関して質問したい

ス: フランキー。パパ・フランクス。

テ: これまでのところの感想はどうか。新しい教皇、特にフランシスコになって何か影響はあったか。直接会って話してみてとかではなく。教会の長だ。何か変化があったか。

ス: 皮肉抜きで、僕はカソリックだ。フランシスコ教皇の視野の広いメッセージが好きだ。彼は伝統的な教皇だ。彼に驚いているアメリカの信徒には思いもよらないだろうけど。しかし、これこそ僕が子供の頃に思い描いていた教会だ。僕はその教会で育った。ジョン・ポール二世の非常に政治的なカソリック教会、レーガン時代の共和党と連立していた教会はいつも僕を悲しませた。なぜなら教会というのはどんな政局よりも大きなものだから。世紀的な視野で物事を考えるのは楽しい。

常に貧しき人々のことを思い、私に同性カップルの愛を裁くことは出来ないと謙虚に述べるフランシスコが好きだ。この2つのことだけでも、次の世代が教会のメッセージに共鳴して社会問題に対する世間のもの見方も少しづつ変わるだろうという希望に溢れている。

Pope Francis:ローマ教皇フランシスコ。
papacy:教皇職、教皇制度。
flock:信徒、会衆。
the poor:貧しき人々。

テ: もうひとつ質問したい。今朝はあなたの時間を長い間独占している。

ス: 気にしないで。

テ: 質問の一部だ。放送の前に色々やることがあると思う。

ス: 収録中の現在、朝の11時21分だ。

テ: このインタビューを受けてくれる気前の良さ、そのために犠牲を払っているのでは。

ス: 深呼吸して、スタッフを信頼すること。僕にはどっちも出来る筈。そうして新しいストレスの波に備える。ある意味ストレスを好きにならないといけない。ストレスやプレッシャーとポジティヴな気持ちを結びつける方法は分からないが、ひとつある。防弾の感覚。それは本当に快楽だ。好きにならないといけない。

でもこういう仕事は、火の付いたそりに乗るのを好きになるようなものだ。他の人もみんな一緒に乗ってるから、好きにならないと。みんなと一緒だ。楽しい。みんなで一緒にやって、最後にこう言う。なんとか出来たじゃん。なかなか良い番組だ。また明日やろう。それだけだ。止まらないので、前へ進み続けるしかない。下り坂のハードルを好きにならないと。ゴールのラインはない。今日ぶつかったかも知れない木を思い返して喜ぶしかない。

テ: あなたと話すのは大好きだ。また出演してくれて嬉しい。テレビの画面に戻ってきてくれて嬉しい。

ス: 話せて楽しかった。またテリーが呼んでくれた。つまり僕の番組には意味があるんだって思った。

compensate:補償、埋め合わせ。
toboggan :トボガン、小型のそり。

Eating Crow

Eating Crow.

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